男鹿山塊 小佐飛山(1429.0m)、長者岳(1640.2m) 2013年4月29日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:30 萩平−−5:39 小蛇尾川の橋を渡る−−6:24 小蛇尾川上流方面の道と別れる−−7:10 1110m峰−−8:02 反射板−−8:38 小佐飛山(休憩) 9:04−−9:36 1409m峰−−10:01 1354m峰−−11:04 長者岳(休憩) 12:21−−14:04 小佐飛山(休憩) 14:32−−14:53 反射板−−15:31 1110m峰−−16:22 萩平

場所栃木県那須塩原市(旧黒磯市)
年月日2014年3月29日 日帰り
天候曇後晴
山行種類残雪期
交通手段マイカー
駐車場萩平に広い駐車場あり
登山道の有無標高780m付近までは道あり、それ以上は道無し
籔の有無笹藪あり
危険個所の有無無し
山頂の展望小佐飛山:樹林で展望なし
長者岳:展望良好
GPSトラックログ
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コメント萩平から小佐飛山経由で長者岳を往復。この時期の下界は杉花粉が多くて酷い目にあった。標高1200m付近まで残雪なしだが笹籔は薄かった。テープ類多数あり。小佐飛山の山頂標識は撤去され今は皆無。小佐飛山〜長者岳間は目印皆無。雪は残っていていたが1409m峰への登りは雪解けが進んで笹がかなり出ていた。長者岳山頂はなだらかな雪原で展望がいい場所。東端の雪が消えた笹の中に三角点があった


ルート図。クリックで拡大


萩平駐車場 水門上の橋を使わせてもらう
対岸の道は最初だけ荒れている 川縁に下りると広い道
小蛇尾川にかかる橋 砂防ダム手前で道が途切れる
道の終点手前で尾根に上がる道がある 手すり、階段付き
分岐その1 小蛇尾川上流方向へ 分岐その2小蛇尾川上流方向へ
分岐その3 小蛇尾川上流方向へ 蛇尾川ダム
ここで道と別れて尾根に乗る 西は自然林、東は植林の尾根
1030m付近の小さな肩 1110m峰。きれいに伐採されていた
1110m峰から見た1230m肩 1080m鞍部先の残雪
1230m肩でまとまった残雪登場 1230m肩から北を見る
1275m峰で鹿の角発見。栃木県内で初めて 1310m肩への登り
1310m肩の反射板 反射板でスノーシュー装着
反射板より先はほぼ残雪が続く 小佐飛山山頂
小佐飛山三角点 小佐飛山の栃木の山紀行の山頂標識残骸
小佐飛山より北西に下り始める 雪はあるが灌木藪がうるさい場所も
1320m付近 1280m鞍部から見た1409m峰
1409m峰の登り。かなり雪解けが進む 1409m峰
1380m付近 1360m鞍部手前で割れたビンあり
1360m鞍部から登りにかかる 1380m峰手前
北側の1380m峰から見た長者岳方面 北側の1380m峰から見た奥日光
1340m鞍部。雪庇が覆う 1430m付近
1570m付近 1600m付近
長者岳直下 長者岳山頂
長者岳の栃木の山紀行の山頂標識残骸 長者岳三角点
長者岳から見た弥太郎山 長者岳から見た小佐飛山。遠い
長者岳から見た日留賀岳〜鹿又岳
長者岳から見た高原山、奥日光
長者岳から見た大佐飛山
長者岳から見た鬼怒沼山〜白身山(クリックで拡大)
長者岳から見た黒岩山〜会津駒ヶ岳(クリックで拡大)
つぼ足とスノーシューの違い 帰りの小佐飛山
小佐飛山には多数の足跡あり ここでスノーシューを脱ぐ
明瞭な道に合流 小蛇尾川沿いに到着


 男鹿山塊核心部での私の未踏峰は長者岳のみとなった。大昔なら塩那林道が通行可能で林道に近い長者岳は楽勝の山であったが、今は林道ができる以前のように山深い山に戻った。正確には林道は存在しているのでそれを利用すれば最低限の藪漕ぎで済むだろうが、いかんせん林道の長さがネックだ。たぶん林道全長の半分弱くらいだと思うが、それでも20kmくらいは林道歩きを覚悟する必要がある。

 現在は林道を使わず、藪が埋もれた残雪期に萩平から小佐飛山経由で往復するのが通常ルートと思われる。これは百村山経由で大佐飛山を往復するのとほぼ同じ労力が必要と予想され、日帰りではきつい部類に入ろう。例年の私の体力なら問題なくやってのけるレベルだが、今年は3週間前の1ヶ月間の山ブランクで体力が低下し、まだ元に戻るほどの山の回数をこなしていない。先週の弥太郎山でヘロヘロになったのがいい証拠だ。しかし翌日の明神岳、前黒山、狸原山、二方鳥屋山で最低限の脚力は戻ったと判断できたので、土曜日のみ好天が予想された週末に実行を決意した。

 数年前に小佐飛山は登ったことがあるので萩平までの道は大体分かるが今はカーナビの力を借りる。終点に広場があったことは覚えているが東側が杉植林だったのは覚えていなかった、というよりは前回は花粉が飛ぶ前の2月中旬だったので気にしていなかったのかもしれない。確か雪が降っていたような。外に出ると目が痒い。東京では既に杉のピークは越えて楽になってきたのだが、ここは花粉の「震源地」なので翌日ともひどい目にあった。これからは登山口から雪が残っているエリアでないとダメなようだ。

 今日の天気予報は晴れで気温が高く雪が緩むと予想されるので装備はワカンではなくスノーシュー。念のためにピッケルに12本爪アイゼンも担ぐ。たぶん出番は無いだろうが雪のある山でのリスク低減には必要だ。

 萩平からしばらくは小蛇尾川に沿って上流へ向かう道を利用する。その入口は川にかかる発電用取水水門。フェンスがめぐらせて立入禁止になっているが、川の水量が多く渡渉は不可能(場所を選べば長靴で渡れるかもしれない)なので無断利用させてもらう。対岸に渡ると最初だけやや不明瞭な道で1箇所だけ僅かな残雪を横断するが、川岸に降りると林道のような広い道に変わる。

 目的の尾根は小蛇尾川と大蛇尾川に挟まれた尾根だが、そこに取り付くには小蛇尾川を渡らなければならない。前回どうやって渡ったか全く記憶が無く、渡渉場所がないか探したがそんなことができる水量ではなかった。それに渡渉で苦労した苦い思い出がない。もっと上流で渡れる場所があったのかと考え、川岸から太い道に戻って上流目指すと立派な鉄製の橋がかかっているではないか。こんなことも忘れてしまうとは我ながら情けない。

 目的の尾根下部に到達したが、斜面は法面状で取り付けないためさらに道を進み、倒木を越えた先で道が消失、崖で終わっていた。尾根側も崖で登るのは不可能。前回、ここも苦労した覚えはなく、どこか登れるルートがあるはずだと僅かに逆戻りすると、斜めに上がっていく明瞭な道があった。こんなのを見落とすとは。

 ここからしばらくはこの道を上がっていく。尾根に乗ってもしばらくは尾根直上を通らずに東側をジグザグに上がっていく。ジグザグ区間は杉の植林で恐ろしい場所だが、ここはそこそこ手入れされた植林帯で枝打ちされて上部のみ葉が付いた状態で花も少ないので助かった。この界隈は残雪は皆無だ。道には2箇所ほど案内標識があり、この先は小蛇尾川上流方面となっている。これは記憶がある。

 やがてこの道は尾根を乗り越えて西斜面に移るが、この先はもう尾根に戻ってこないのでそこで尾根に乗り移る。ここにはささやかな目印があるが標識はない。でも前回の記憶にここは残っていたので迷わずに尾根に乗り移った。そして前回はここで雪があってスノーシューを装着したが今回は雪のかけらも無い。

 ここからは尾根東側の植林と西側の自然林の境界の尾根の急登が始まる。地面は低い笹に覆われるが足首から膝くらいの高さの笹で乾いていれば全く問題にならない。かなりの傾斜で効率よく高度を稼げるが、今日は気温が高く最初から+10℃もあったため、今シーズン初めてTシャツになった。夏の+10℃は十分涼しいが今の時期の+10℃は暑い。

 途中、一時的に自然林に変わって花粉とさよならかと思ったらまた人工林へ。しかし上部は檜が中心らしく花粉はかなり減ってきたようだ。1030m肩でやっと人工林が終了し落葉樹林が覆うようになった。しかしまだ雪が見えないとは。お隣の鴫内山に登ったのも今の時期だったように記憶しているが、もう少し雪があったような?

 1110m峰に出ると自然林が伐採され西側の展望が開けていた。確か前回登ったときは普通に自然林に覆われていたはずだ。ここまでの尾根上で伐採された個所は無く、なぜ「10円ハゲ」のようにここだけポツンと伐採されているのか不明だ。周囲の木には番号が書かれた札が取り付けてあった。

 鞍部から再び登りにかかると笹が登場するがまだまだ薄い部類だ。高さは膝から腰くらい。場所によって異なるが鹿に葉をかなり食われてしまっている。今は雪は無いが、たぶんこの食われたエリアが一番早く雪が解ける場所で、鹿が真っ先に食いつくと思われる。もしかしたらここもそのうち奥日光のように笹が無くなるかもしれない?

 小さな露岩のある1230m肩でいったん傾斜が緩んで水平移動となるが、ここで初めてまとまった残雪が現れる。半分程度の頻度で踏み抜くのでスノーシューの出番ではあるが、この感じでは登りが始まるとまた雪がなくなる可能性が高いと判断、ここはつぼ足で我慢。案の定、登りが始まると雪は消えて笹の中の踏跡を辿ることになった。笹の濃さは大したことはなく無雪期でも問題ないレベルだ。

 そんな雪が無い笹地帯で鹿の角を発見。まさに尾根直上に落ちていた。栃木県内では「初収穫」だ。奥日光、足尾などは相当数の鹿が生息していると思うが、今まであちこち登山道が無い尾根を歩いてきたのに鹿の角を拾ったことが無かった。それがまさか男鹿山塊でとは。とりえずザックにくくりつけたが、このまま長者岳まで持っていくのも荷物になるだけなので小佐飛山山頂にデポした。

 1310m肩で反射板が登場、これは記憶に無いが帰ってから自分で書いた小佐飛山の記録にはちゃんと存在していた。ここから先はどうやら残雪がつながりそうな気配でスノーシューを装着。踏み抜きはゼロにはならないがつぼ足より格段に減少して楽になる。足の先端に付けた片足1kg強の重りの方が踏み抜きより楽なのだった。

 あとは小佐飛山まで急な登りはなく概ねなだらかな尾根が続き、残雪の上を楽しく歩けた。時々雪が切れる個所はあるが主に西側を巻いてパス、スノーシューを履いていなければ藪の中を歩いてもいい程度の濃さだった。このレベルなら無雪期でも問題ないだろう。ただし雪に隠れた区間の藪の濃さは分からない。

 緩やかに登って丸く広いピークに到着。ここが小佐飛山だ。真中には幹が折れたシラビソがあり、その横に三角点が出ていた。雪は僅かに残るだけで、たぶん来週には北半分は雪が消えてしまいそう。ただし山頂の笹はそれほど濃くない。前回登った時とは比較にならないほど雪が少ない。1ヶ月半も時期が違うからなぁ。ここまで休憩無しで歩いてきたので大休止。これで長者岳まで距離的には半分程度だろう。ただし標高差はかなり稼いでいて、残りは累積標高差で600mくらいか。帰りに合計約200mの登り返しがあるのもいやらしい。

 休憩を終えて出発。山頂北側の笹の様子を見るとこの先は雪が消えているのではないかと心配になったが、少し下って尾根の先が見通せるようになると雪が続いているのが見えて一安心。しかし1350m付近は尾根上の藪が濃く出てしまっていて西側を巻いて尾根に復帰。その西側にはもっともらしい別の尾根があるので引き込まれないように注意が必要。

 鞍部に下って1409m峰への登りにかかる。南向きの尾根なので雪解けが進み斑模様に残った状態で、背の高い笹が半分以上立っている。それらを避けて残雪を辿るが、積雪は10cmくらいしかないので雪が割れて寝た笹の上で雪の層ごと滑るので厄介だ。雪の上を進むよりもスノーシューを脱いで笹薮の中を行った方がマシだったかもしれない。

 1409m峰に出ると水平移動となり雪が増えて格段に歩きやすくなった。しかし次の1380m峰からの下りはかなり藪が出てしまい、主に西側を巻いたがそれでも鞍部付近は笹の中を歩いた。ただしここは腰ほどの高さで密度は濃くない。鞍部の先もしばし藪を避けて西にトラバースして進んだ。

 1354mピークの西側鞍部付近は雪庇が発達していて歩きやすい。この先は山頂まで小さな肩やピークはあるが大きな下りは無く登りが続く。所々で尾根上に笹薮が出て左(西)を巻く部分もあるが、概ね尾根上を進むことができた。危険個所は皆無。右手には樹林を通してだが常に大佐飛山の稜線が見えている。あちらはこっちと違って大賑わいだろう。

 そのうち背後に物音が聞こえたので振り返ると、100mほど後方に軽装の単独男性の姿が。おや、私以外に長者岳を目指す人がいるとは予想しなかった。しかも私より後の出発で追いついてきたのだから私より健脚だ。今日の雪質では先行の私の足跡はほとんど沈んでいないので2番手以降がラッセルで楽をできるわけではない。見た限りではつぼ足にピッケルもストックも無し。かなり手馴れた人だろう。

 追い越されても問題ないので私は歩くペースは変えずに歩きつづけたが、男性との差は縮まりも広がりもせずほぼ一定だった。あちらはつぼ足なので私より踏み抜きが多くなって本来のスピードより落ちているのかもしれない。

 狭かった尾根が広がって樹林が開けた明るい場所に到着、そこは偽ピークというか偽の肩(1570m肩)だったが高度計のおかげで騙されずに済んだ。なおも残雪の尾根を登っていき、最後は広く緩やかな稜線を登りきれば長者岳山頂に到着だった。

 長者岳の山頂標識は生きているかと思ったら、ここも栃木の山紀行の残骸のみ。3D標識は見当たらないし他に標識は皆無。代わりに残雪の東側の笹の中に三角点が出ていた。雪解けした個所の笹は薄かったが今雪の下の藪はどんなものだろうか。無雪期でも我慢の範囲かなぁ。

 北から北西にかけてと東側は落葉樹林ですっきりとは見えないが、南西側は雪庇で大きく展望が開ける。目の前には高原山。先週登った前黒山、明神岳は主峰の釈迦ヶ岳、鶏頂山と重なって識別不可能。右側の遠い位置には女峰山、その右は太郎山、さらに白い日光白根。場所を移して木の隙間から南会津の県境が見渡せた。一番奥の真っ白ななだらかな山は会津駒ヶ岳。現地では分からなかったがその左にうっすらと平ヶ岳が写真に写っていた。

 私の到着直後に男性も到着。話を聞くと宇都宮に住んでいるとのことで、山登りというよりトレランとのこと。しかし雪がある山でトレランとは。背中には小さなザックのみ。足元は登山靴というよりランニングシューズだが雪で濡れないのだろうか。かなり元気な方で、下りは塩那道路経由で行こうかとも話していたが、これから地元で飲み会があるとのことで、しばらく展望を楽しんでから時間の都合で往路を走って戻っていった。いやはや、凄い。

 こちらは暗くなる前までに下山すればいいので山頂でのんびり昼寝。朝方は曇りがちだったがいつのまにか晴れ渡って日差しが暑いくらい。今シーズン初めて日焼け止めを塗った。雪の上に断熱シート敷いてを昼寝していても本当に暑かった。

 たぶんもう来ることがない山頂を後に下山を開始。先に下っていったトレラン男性のつぼ足の沈み方と比較すればスノーシューは天国だ。特に今日のように好天で気温が高めだと雪が緩むのでなおさらだ。長者岳山頂でもスノーシューを脱ぐと場所によっては膝まで埋まったのがスノーシューだと踏抜皆無だった。

 久しぶりのロングコースであるため、下山の登り返しはかなり苦しかった。時間はたっぷりあるのでゆっくりと歩きつづけ、たまに立ち止まって息を整える。標高差150mを登りきって小佐飛山に到着。ここで大休止。雪の上にはたくさんのスノーシューやワカン跡。私が長者岳を往復している間に何人も登ってきたらしい。小佐飛山はマイナーな山で他に登る人がいるとは思わなかったが、残雪期は意外に登られているのかもしれない。しばし横になって休憩。

 出発前に山頂の笹薮に隠しておいた鹿の角を回収。誰も気づかなかったようだ。ザックの横に角を逆さに刺して出発。トレランの男性はも下山しただろうか。このトレースの主達はどこまで下っただろうか。

 小佐飛山より先はトレースも濃く目印も多数あるので油断して歩いていたら、???m肩で左に曲がるところを直進して雪の上の足跡が無くなり目印も消えた。すぐにルートミスに気づいて登り返し、雪の上に足跡を発見し一安心。ずっと雪が続けばこんなことはないが、ここまで下ると部分的にしか雪が残っていないので注意していないとこんなこともある。

 この先はもう残雪が続かないのでスノーシューを脱いでザック後方にくくりつける。背中は重くなったが足は軽い。しかし無雪地帯の下りは雪のある下りより足に負担が掛かって、今の私の脚力では結構きつい。特に人工林が始まると急な下りが連続し、笹に足を取られて滑りやすくなる。

 ようやく尾根の傾斜が緩んで小蛇尾川上流に続く道に合流、ここからは急坂も笹も無くなり良好な道に変わるので歩きやすい。小蛇尾川左岸の道に出て鉄橋を渡り水門を渡って萩平にゴールイン。車は私の他に1台だけ。どうやらその主は河原でツェルトで宿泊らしい。天気予報では明日は雨だが小佐飛山を目指すのだろうか? 下界はスギ花粉が濃く目の痒さが今年一番だった。

 帰りは一番近そうな塩原入口の「彩花の湯」で汗を流したが、ここもスギ花粉が濃くて風呂に入っても目の痒みは納まらなかった。おまけに鼻水も。でもこちらは軽い風邪だったようだ。東京に戻っても2日間程度鼻水が止まらなかった。

 

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